習慣

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 (さとる)の2杯目のサワーが運ばれてきた時、LINEの通知も来た。目をやると愛菜佳からだ。  【悟、落ち着かないよ、怖い】  今日は課の飲み会だと伝えてある。彼はから揚げを皿に取り、頬張りながらとりあえず返信をした。  【今飲み会、あとで連絡する】  おしぼりで手を拭いていると、「何、彼女?」と同期の小川が小突いてきた。  「あ、あぁ」と少しにごすように、サワーを流す。また通知が来た。  【ごめん、ごめんね、不安で苦しいの】  「早瀬、優しいなぁ、オレなら電源切っちゃうよ」  「え、それひどくないです?」  「てゆーか、早瀬くん彼女いたんだ〜」  おいおい、どうしたんだよ、最近おかしいぞ。今日のような日はいつもなら連絡は帰宅後だろう。何があったのか。  悟は「ちょっと外すわ」と片手を揚げ、狭い廊下に出た。居酒屋だからどこに行ってもうるさい。  電話をかけると愛菜佳がすぐに出た。  「もしもし、まな?どうした?」  「悟、ごめんねぇ、もう苦しくて。うちに来てぇ」  語尾は泣き声に続いていた。  「何があったんだ?」そう口にして、少し察しがついていた。仕事のことだろう。  「さと、る、私もうダメかも、お願い助けて」  辺りが騒がしく、はっきりと聞こえない。  「まな、帰りに連絡するから、な、後で話聞くから」  「絶対ね、早く切り上げて、お願い」  「わかったから、落ち着いて、少し休むんだよ、じゃあ」  座敷に戻ると、小川に冷やかされた。  ふうとため息をつくと、また通知が来た。今話したばかりじゃないかよ、今度はサワーをゴクゴクと飲む。その間にも通知が続いており、さすがに悟は一度カバンの中にスマホを投げ入れた。   
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