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「痛っ」
私は思わず「今」と叫んでいた。ラジオは照れ臭そうにしていて、私と目を合わせようとしない。
「今、しゃべったよね。声、聞こえたよ」
ラジオはこちらを見ずに、首をふるいながら、イスを机にしまっていた。
「そんな声、してたんだね。聞けてよかった」
ラジオは小刻みに頷き、手でそれ以上はやめてくれ、と合図をした。だが、口元はかすかに開いており、そこから少量ではあるが空気が漏れでる音が聞こえてきた。
「もしかして、笑ってる?」
空気の漏れが多くなった。目はまだ合わせてくれない。なので、とびっきりの変な顔をしてこちらから覗き込みにいった。
ラジオから空気が吹きだした。
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