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「わかる、息の仕方がわかんなくなるんだよね」
〈だよね。学校も人が多すぎる。勉強なら家で一人でやりたい〉
ラジオの字がいつも以上に乱れ、力強くなった。まるでミミズのゾンビのようだった。
「すごくわかる」
〈でも、いかなきゃ、ダメな気がする。よくわかんないけど〉
「だよね、本当に」
〈もう来た瞬間から帰りたい、意味のない時間つぶしの場所でしかない〉
「流されてここにいるって感じだよね。得体の知れないなにかに」
〈もう疲れた。流れに逆らっても、流れからは抜けだせない〉
「面倒くさいよね。でも、明日もラジオは学校にくるんでしょ?」
〈うん。陰口叩かれるの嫌だから〉
「私には会いたくないの?」
〈どうだろ、わかんない〉
「なにそれ、傷つくんだけど」
〈ごめん〉
「いいよ、別に」
小さく笑ってラジオの顔を見つめたがそらされてしまった。栄養失調のキツネのような顔をしているが、中学二年生にもなって黒板に落書きをして、サルのように喚き散らしている男子よりかはよっぽど落ち着いているし、格好いい。
〈ユウリはなんで学校に来てるの?〉
「なんだろ。ラジオに会うためかな?」
〈僕なんかと会って、楽しいの?〉
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