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「楽しいよ。女子といるより、よっぽど」
〈そうなの? いつも楽しそうに話しているように見えるけど〉
「ならそれでいいの。周りから楽しそうに見えれば、それで」
〈僕はユウリと話してて、楽しい〉
「ありがと。ねえ、ラジオってどんな声してるの?」
私はずっと知りたかったことを訊ねてみた。ラジオの視線が泳いだ。
ラジオは首を振った。目を合わそうとしない。
「声に出したくないなら、文字でもいいよ」
文字でどうやって表せばいいのか、説明できなかったが思わず言ってしまった。
〈文字じゃ、できない〉
「だよね。ごめん、意味わかんないこと言って」
〈大丈夫。こっちもごめん、声は無理〉
「いいよ、無理しなくて。こっちこそ、ごめんね」
〈でも、好きな音楽なら、教えられる〉
「ラジオって音楽好きなの?」
〈うん、授業中、こっそり聴いてる。みんな僕のこと見てないから、聴き放題だよ〉
ラジオはほほ笑んだ。私もつられて思わず笑ってしまった。ラジオが自分からそんなことを言うとは思っていなかった。
「それって、ラジオで聴いてるの?」
〈いや、音楽プレーヤーで聴いてる〉
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