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「ラジオ、なかなか上手いこと言うじゃん」
本当は私と同じことを思っていたんだよ、と心のなかで呟く。
〈そうかな、よくわかんないけど〉
「音楽好きなら、もっと早く言ってくれればよかったのに」
〈そういう話題にならなかったから、ごめん〉
「謝んなくていいよ。私が訊かなかったのも悪いんだから」
思い返せば、ラジオと話すときはいつも学校や現状に対する愚痴ばかりだった。だが、今はこうして共通の趣味を見つけることができた。平凡と言えば平凡な趣味だ。どうして気づかなかったのだろうか不思議なくらいだ。
〈今度、お勧めの曲、持ってくる〉
「ありがとう。私もなんか持ってくるね」
〈今、ここで教えあうってのもあるけど、どうする?〉
「明日にとっておこうよ。明日、学校にくる理由ができるから」
〈うん。そうだね。そうしよう〉
その時、携帯が鳴った。見ると、友人からのメールだった。
『ユウリ、来週の日曜、どっか行かない?』
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