放課後のラジオ

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 ラジオは首を振ると、机のなかから新しいノートを取り出した。表紙には、黒いペンで大きく[バカ]と書かれていた。おそらく黒板前によく出没する猿たちの仕業だろう。排泄物で書いたかのような汚さで、臭いも漂ってきそうだった。 「くだらないことするよね」  ラジオは無言でノートをめくった。めくってもめくっても、白い紙に排泄物は塗りたくられていた。怒りというよりかは、全身の血が透明に変わっていくような虚しさがこみあげてくる。ようやく白紙のページにたどりついたかと思えば、十枚ほどしか残っていなかった。 〈よかった。まだ残ってた〉 「たぶん、ここで飽きたんだろうね」 〈せめてもの優しさなのかもしれない〉 「それはないよ。絶対」 〈だろうね。きっとこれ以上僕のノートに触れているのが嫌だったんだよ〉  なにも言えなかった。そんなことないよ、と言ってもどうにもならないことは痛いほどわかっている。 〈僕はクソ本だからね。みんなうんこには触れたくないんだよ〉 「ラジオはラジオだよ。クソ本なんかじゃない」
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