放課後のラジオ

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 私はラジオの手に手を重ねていた。そんな品のないあだ名をつけられるような人間ではない。声をださないけど、ちゃんと私とつながることができている。こうして話をするまで存在しないものとして扱っていた私ともちゃんと交流してくれている。そんな優しい人間そうそういない。  頭と心は張り裂けそうなくらい叫んでいるのに、声にならなかった。言ったとしても、心から信じてもらえる自信がなかった。 〈ありがとう。そう言ってくれるだけでうれしい〉 「ねえ、訊いてもいい?」 〈なに?〉 「ラジオってあだ名、どう思ってる?」 〈かっこよくて、気に入ってるよ〉 「本当に?」 〈うん。だってユウリがつけてくれたから〉  眼球の裏で涙が波打った。鼻の奥が痛みだし、口びるが震えた。 「ありがと」  息を吐いたつもりが、言葉がでてきた。ラジオは首をかしげている。 〈どうしたの?〉 「別に、なんでもない」 〈明日、CD持ってくるね〉 「うん。私も持ってくる」 〈じゃあ、僕、そろそろ帰る〉 「わかった。バイバイ」 〈バイバイ〉  ラジオは荷物をかばんに入れ、立ち上がった。だが、その時、イスに足を引っ掛けて、転びそうになった。
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