向日葵が枯れるまで

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ジリジリと照り付ける太陽と一面に広がる黄色の花畑。いつ来ても変わらないな、なんて物思いにふけていた。 これは僕が学生の頃に体験した話だ。 当時、僕は都会の生活に息苦しさを感じていた。上を向いても高層ビルに切り取られた空がチラリと顔を出すだけだし、街ゆく人は規則正しく何かに縛られて動いている。 そんな風に思えたんだ。 「おい、(いつき)。夏休みだろう?田舎のばあちゃん家に片付けに行ってきたらどうだ?」 「嫌だよ。あんな何にもない所。」 半年前、僕をよく可愛がってくれたばあちゃんが亡くなった。とてもショックで僕はばあちゃんの冷たくなった手を何時間も何時間も握っていた。 僕は内心、ばあちゃん家に行ってばあちゃんとの思い出を思い出してしまうのが怖かった。記憶を甦る度に映るばあちゃんが全て、棺桶に入っているばあちゃんの顔しか出てこないのではないかと。 「なんだか、ばあちゃんが樹に渡したいと言っていた物があるみたいだぞ?」 「渡したいものって?」 「さぁな、樹がいらないと言うなら、大祐(だいすけ)おじさんに伝えておくが。」 「行く!行ってくるよ!」 昔から大好きだった大祐おじさんに会えるのなら行く以外の選択肢はない。僕は早速荷物をまとめた。 それから新幹線と電車を乗り継ぐこと□時間。長閑な風景が辺りを埋めつくした。 「やっと着いた…。」 改札を抜けると、大祐おじさんが手を大きく振っていた。 「長旅ご苦労さん!ほら、乗れ!」 僕はおじさんの車に乗り込み、ばあちゃん家を目指した。数分後、大きな古民家の前におじさんは車を停めた。ばあちゃん家だ。おじさんは到着するや否や家の中へ駆け込んで行った。 僕に相続したいものなんて一体なんだろう。お金か?土地?いやいや、そんな物は大人達で分けたはずだ。それなら、ばあちゃんが大事にしてた日本人形とか?それはちょっと怖いな…。そんな事を思いながら僕もおじさんのあとに続いて古民家の中へ入っていった。
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