ハードボイルド卵 2

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俺はハードボイルド(ラン) ゆで卵だ。 今日も相棒のウズラ(ラン)と共に台所の平和を守っている。 「た、大変だあー!アニキ!」 「どうした?ウズラ卵」 吊り下げ型の食器棚の中、籐籠ソファーでくつろいでいた卵。 大きな声を上げたウズラ卵がチョコチョコと小さな身体を揺らせながら卵の近くに駆け寄った。 「あのだらしない にーちゃんがまたやりやがったよ!」 「何だまたか。今度はどうしたんだ。」 ウズラ卵は籐籠の端を片手で掴み、もう片方は扉の隙間から覗くシンクの近くに置かれた古い電子レンジを指差した。 「あの中に夕飯を入れっぱなしで忘れてるんだ!さっきコンビニで買ってきてたものを入れてたから間違いないよ!」 「何だと!何故温めないんだ?」 クイッとエッグウェストを動かせながらソファーから降りた卵。腰に手を当てながら食器棚の端にゆっくりと歩いていく。 「フッ、そう言うことか。」 卵はサングラスをずらし笑った。台所のすぐ隣のリビングでゴロゴロしているだらしないにーちゃん。寂しいからとこの前通販で買っていたタラバカニの抱き枕に頭を置きくつろいでいる。 その手に握られているものをみて、卵は事件の原因を見抜いた。 「パピコを食べて忘れたんだ。」
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