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2/10日目
「先生、どうすれば人間やめられますか!?」
「またですか……」
この日も早速彼女は聞いてきた。
「いつも言ってるでしょう。人間に産まれた以上、最後まで人間として生きないと」
「そんなこと言ったって、私は引き下がりませんよ! そういえば、こんなことを聞いたんです」
どうせろくな事ではないと思うが、こうなったら仕方がない。
最後まで聞こうではないか。
「ネット依存すれば、人間じゃなくなるって」
――やっぱり。
彼女の言う事はろくな事じゃない。
僕はため息をついて言った。
「そんなわけないでしょう。ネット依存には、色々デメリットがあるし、第1ここはスマホの使用禁止だって――」
彼女は僕の言葉に口を尖らせ
「ちぇー。少しくらいいじゃん。いつも暇なんだから」
と呟いた。
「暇とかの問題じゃないんだけど……。とにかく、ここでのスマホの利用は禁止。するなら外で!」
「……だって外出られないし」
「はぁ。仕方ないなぁ」
僕は私用のタブレットを取り出し、彼女に手渡す。
「これで我慢する! でも、誰にも言うな
よ」
「わかってるよ。バレたら先生、クビになっちゃうもんね」
「その程度ではならない!」
僕はそう言い放つと、部屋から出た。
すると部屋から、彼女の喜びの声が聞こえてきた。
「人間、やめるぞー!」
彼女は相変わらず、人間をやめようとしているようだ。
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