五分間の願いを。

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今日の私は特別に早起きだ。 朝一番始めにやる事がある。 寝室のカーテンを開け朝日を浴びる。 とても眩しい爽やかな暖かさを全身で感じる。そしてきっと私の周りの誰よりも私はこの安心を実感している。 お気に入りの口紅を薄めに塗る。血色が良く見えるようにチークもつける。こうしてメイクを終えると普段よりも少しだけ体に力が入る。外出は夜の七時だというのに、何もこんなに朝早くからメイクなんてしなくても良いのに。けれど月に一度のこの一日は私にとって特別な日なのだ。あまり食欲が無いのでミルクたっぷりのホットコーヒーを入れ買ったばかりの本を手に取る。ソファーに腰掛けコーヒーを一口流し込んだ。呼吸が整いまるで客人をお待たせしてしまった様な気持ちで本と向き合った。(待たせてごめんね…。) 最初の1ページ目をそっとそっと花びらを撫でる様に優しくめくった。 『~季節の花々~』 短命だが堂々と美しく可憐に咲く花々は… 何だか今の私に言ってくれているような文章から始まっている。  私には時間が限られている…
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