五分間の願いを。

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バスで5つ目の停留所で降り少し歩くとそのお店はある。間口はさほど広くないが緑と白のストライプ模様の屋根が目をひき店頭には一つ一つのシルバーのバケツから溢れんばかりの花々が私を歓迎してくれているかのように色鮮やかに置かれている。 店の中をちょこんと覗いた。 すると直ぐに奥から気付いてくれた。 口元の整った愛嬌のある笑顔で彼は今日も。 「こんばんは。お花出来てますよ。」 私は小さく頷いた。大きな嬉しさを隠すようにして。 「今持って来るのでそこに座って待ってて下さい。」 白い小さなパイプ椅子に腰掛けた。 店中に漂う賑やかな花の香りがあの日の記憶を思い出させた。 二年前のあの日。
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