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「私はミカエル・スゴク・カワワです。悪魔さん。初めまして。」
「お前…。天使だよな。こんな時間になんだ?まさかもう裁判が始まるのか?」
(こいつが裁判官か?)
「違いますよ~。あなたをここから出してあげようと思っているんです。」
「なんだと?なぜだ?」
「あなた天使になりたいんでしょ?そのお手伝いがしたくて。」
ミカエルは笑顔でデーモンに問いかける。
(これは罠か?脱獄した時点で「脱獄を企てるとは、やっぱり悪魔やん。死刑だ!」みたいな展開になるんでは?)
デーモンの考えを読み取ったのか分からないが、ミカエルは口を開く。
「警戒する気持ちも分かりますよ。なぜ、天使の私が悪魔であるあなたを助けようとするのか。」
ミカエルは口角を上げて言った。
「実は、私のご先祖様が、元悪魔の天使に助けてもらったことがあって…。」
「元悪魔!伝説は本当だったのか!そ、その元悪魔は今も生きてるのか?」
デーモンは早口で捲し立てるように言った。
「まさか。もう何千年も前の話ですよ。」
「そうか…。そうだよな。」
ミカエルは構わず続ける。
「その話を両親から聞いたときから、私、悪魔に興味が湧いて…。」
「そんなときに、あなたがこの星へやって来たってわけ。テレビのニュースで大騒ぎですもん!悪魔がやって来たって。」
「そんな騒ぎになっているのか?」
当たり前だろ
「しかし、お前はどうやってここまで入ってきた?まさか、この看守のように、職員や警備員を全員眠らせたのか?」
「あら、私が看守を眠らせたってよく分かりましたね。」
「なんとなく…な。」
「実は私の父がこの星の幹部をやっているんですよ。その権限でこの牢屋の中に入って、そして…。」
「私の魔法で、この建物にいる〈天使〉さんには眠ってもらいました。」
「ほう…。」
デーモンはミカエルを見つめる。
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