デーモンの旅立ち

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 しかし、悪魔が天使になるなんて本当に可能なのだろうか?  なぜならば、天使と悪魔は相対立する生命体同士。天使は産まれた時から天使であり、悪魔も同様だ。  そんな転職みたいな軽いノリで悪魔から天使になれるわけないだろう。  例えばこんな人間がいたとしようか? 「俺、明日から人間やめてドラゴンになるわ!」  いかがだろうか? ぶっ飛んだ発想である。頭おかしいやん。  だがしかし。そんな心配をデーモンは全くしていない。むしろ天使になれるという確信があった。  その根拠とは……。古くからこの星に伝わる伝説である。 『ある悪魔が天使になりたいと強く願っていました。そうしたら実際に天使になることができました』と。  学校の先生から聞いた。近所のサタンも言っていた。  それだけである。それだけである! 「おいおい、所詮は伝説に過ぎないだろう……」 「正気じゃないぜ!」  周囲の悪魔は困惑するだろう。腹を抱えて笑うだろう。  だが、鬱憤を溜めながら、この星で暮らしていくよりは、賭けに出るのもいいのでは?とデーモンは思ったのである。  究極のポジティブ思考なのか、それともただの阿呆なのか……。
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