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しかし、デーモンにはなんとも浅はかな考えがあった。
(なんたって天使だ! 事情を話せば理解を示すだろう!)
そんな甘い考えが通じるのだろうか……。
究極のポジティブ思考なのか? それとも猛烈な馬鹿なのか?
しかし、それらの課題を乗り越えることができても、最大の問題点が残っている。
それは、どうやって天使の星に行くかだ。
そう。スタート地点が最大の難問と言っていい。
そもそも天使の星に行くには、宇宙船が必要だ。当然デーモンは持っていない。そもそも個人で宇宙船を持っている悪魔など、この星で数えるほどしかいない。一介の悪魔であるデーモンには手に入れる方法はない。さてどうする?
デーモンは、まず宇宙船を盗むことを考えたが、すぐに却下した。買う金を盗むのも同様だ。
(俺は天使になるんだ。そんな悪さなどできない)
流石は天使になる悪魔である。
(どうしたもんか……)
(そうだ! 宇宙船を持っている奴を脅迫するか? 俺の夢に協力しなきゃ殺すと)
前言撤回。そっちのがひどい。
(じゃあ、正攻法で頼み込むんでみるか? 宇宙船を持っている奴に! いや、無謀だ。悪魔がそう易々と貸してくれるとは思えない)
しばし思案にくれるデーモンだが、やがてため息をつきながら呟いた。
「宇宙管制局で働いているあいつに頼んでみるか」
デーモンはあいつの家へと歩き出した。
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