デーモンの旅立ち

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「いやいや。終わらんぞ! 絶対に天使になるぞ! 俺は!」 「どうした? 突然?」 「……! つーかお前天使になりたいのか!?」  サリゲナクは目を飛び出さんばかりに驚いた。デーモンは力強く頷いた。  サリゲナクは唖然とした表情を浮かべる。色々と言いたいことはありそうだが、それらを飲み込み、改めて口を開く。 「しかし、天使になるために天使の星に行きたいだなんて……。正気かよ? まぁ、お前とは付き合いも長いし、なんとか手助けはしたいんだけど」 「無理を言ってすまないな」  デーモンは頭を下げるが、サリゲナクは手で制止する。 「だけどなぁ……」 「分かってる。天使の星へ行くなんて大罪だからな。それに手を貸してもらおうと思ってんだから……」 「……。でも、お前、昔、俺に世話になってるよな?それも一度や二度じゃなく何度も」  そうだ。幼い頃から、イタズラ好きだったサリゲナクは、それが原因で、よく年上悪魔からいじめられていた。それをデーモンによく助けられてきた。 「あぁ、そう言うこというかぁ……。天使になろうとする奴の発言じゃないぞ!」  サリゲナクは苦笑いを浮かべる。 「ははっ。ちょっと昔のことを思い出しただけだ」 「まぁ、ただで助けてもらおうなんて思ってないさ。サリゲナク! 何か困っていることはないか?」 「気にすんなよ。何か手伝えることがないか考えてみる。別に対価なんていらないよ」 「すまん……」  サリゲナクの思いやりにちょっと感動したデーモン。  その後、しばし両者の間に沈黙の時間が流れる。 やがてサリゲナクは何かを思い出したのか手をパンっと叩いた。  そして、不適な笑みを浮かべると同時にデーモンの目を見て言った。 「そうだ。仕事で知り合った悪魔に、何か宇宙船もどきの発明をしている博士がいるぜ! ひょっとしたら協力してくれるかも。紹介しようか?」  デーモンは目を輝かせた。 「本当か? ぜひ頼む!」 (宇宙船もどき? まぁ、なんでもいいさ! 少しでも可能性があるなら当たってみる) 「そうか。分かった。じゃあ、今から博士の所に行こうか!」 「おう! 是非。ありがとう!」  デーモンに気づかれないようにさりげなく笑みを浮かべるサリゲナク。 (ホントに単純な奴だな……。よし! 実験台の紹介料ゲットだぜ!)  サリゲナクも所詮は悪魔なのである。
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