9人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやいや。終わらんぞ! 絶対に天使になるぞ! 俺は!」
「どうした? 突然?」
「……! つーかお前天使になりたいのか!?」
サリゲナクは目を飛び出さんばかりに驚いた。デーモンは力強く頷いた。
サリゲナクは唖然とした表情を浮かべる。色々と言いたいことはありそうだが、それらを飲み込み、改めて口を開く。
「しかし、天使になるために天使の星に行きたいだなんて……。正気かよ? まぁ、お前とは付き合いも長いし、なんとか手助けはしたいんだけど」
「無理を言ってすまないな」
デーモンは頭を下げるが、サリゲナクは手で制止する。
「だけどなぁ……」
「分かってる。天使の星へ行くなんて大罪だからな。それに手を貸してもらおうと思ってんだから……」
「……。でも、お前、昔、俺に世話になってるよな?それも一度や二度じゃなく何度も」
そうだ。幼い頃から、イタズラ好きだったサリゲナクは、それが原因で、よく年上悪魔からいじめられていた。それをデーモンによく助けられてきた。
「あぁ、そう言うこというかぁ……。天使になろうとする奴の発言じゃないぞ!」
サリゲナクは苦笑いを浮かべる。
「ははっ。ちょっと昔のことを思い出しただけだ」
「まぁ、ただで助けてもらおうなんて思ってないさ。サリゲナク! 何か困っていることはないか?」
「気にすんなよ。何か手伝えることがないか考えてみる。別に対価なんていらないよ」
「すまん……」
サリゲナクの思いやりにちょっと感動したデーモン。
その後、しばし両者の間に沈黙の時間が流れる。
やがてサリゲナクは何かを思い出したのか手をパンっと叩いた。
そして、不適な笑みを浮かべると同時にデーモンの目を見て言った。
「そうだ。仕事で知り合った悪魔に、何か宇宙船もどきの発明をしている博士がいるぜ! ひょっとしたら協力してくれるかも。紹介しようか?」
デーモンは目を輝かせた。
「本当か? ぜひ頼む!」
(宇宙船もどき? まぁ、なんでもいいさ! 少しでも可能性があるなら当たってみる)
「そうか。分かった。じゃあ、今から博士の所に行こうか!」
「おう! 是非。ありがとう!」
デーモンに気づかれないようにさりげなく笑みを浮かべるサリゲナク。
(ホントに単純な奴だな……。よし! 実験台の紹介料ゲットだぜ!)
サリゲナクも所詮は悪魔なのである。
最初のコメントを投稿しよう!