住み処

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建宮はデーモンから逃げるようにアパートの階段を駆け下りる。 (さぁさぁ!車が綺麗になっちゃうよー!) 気持ち悪い笑みを浮かべながら、スキップで駐車場へ向かうのは27歳の小太りの男。 「あり?俺の車がないぞ?」 ルンルン気分で駐車場に着いたのも束の間。 建宮の車が停めてあるはずの駐車場は、見事にもぬけの殻だった…。 「………。デーモン君?」 真っ先にデーモンを疑う建宮。 「俺は食ってないぞ!」 (食うな!) 「食いたいとは思ったが!」 (思うな!) 「いや、それでもお前が怪しい。」 「なんでもかんでも、デーモンさんの仕業にしちゃいけませんよ。」 デーモンが膨れっ面をする。 (可愛くねぇよ。むしろ殴りたくなるわ!) 「そうだな…。悪かったよ。」 「プンプン!…。まぁいい。許してやる。」 「はいはい…。しかし、じゃあ俺の車は一体どこへ…。」 「寿命を迎えて土に還ったとか。」 「そんなわけないだろ…。」 「新しい飼い主に拾われたかもしれんぞ。」 「俺の車は犬か!つーか、あんなボロボロのポンコツ車なんか誰も拾わねぇよ。」 自分で言うか建宮…。
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