9人が本棚に入れています
本棚に追加
建宮はデーモンから逃げるようにアパートの階段を駆け下りる。
(さぁさぁ!車が綺麗になっちゃうよー!)
気持ち悪い笑みを浮かべながら、スキップで駐車場へ向かうのは27歳の小太りの男。
「あり?俺の車がないぞ?」
ルンルン気分で駐車場に着いたのも束の間。
建宮の車が停めてあるはずの駐車場は、見事にもぬけの殻だった…。
「………。デーモン君?」
真っ先にデーモンを疑う建宮。
「俺は食ってないぞ!」
(食うな!)
「食いたいとは思ったが!」
(思うな!)
「いや、それでもお前が怪しい。」
「なんでもかんでも、デーモンさんの仕業にしちゃいけませんよ。」
デーモンが膨れっ面をする。
(可愛くねぇよ。むしろ殴りたくなるわ!)
「そうだな…。悪かったよ。」
「プンプン!…。まぁいい。許してやる。」
「はいはい…。しかし、じゃあ俺の車は一体どこへ…。」
「寿命を迎えて土に還ったとか。」
「そんなわけないだろ…。」
「新しい飼い主に拾われたかもしれんぞ。」
「俺の車は犬か!つーか、あんなボロボロのポンコツ車なんか誰も拾わねぇよ。」
自分で言うか建宮…。
最初のコメントを投稿しよう!