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「これじゃ。これが宇宙船じゃ」
「「…………」」
博士が案内した場所は家から2~3分歩いた木立に囲まれた所。そこにあったのはジャンプ台とその上に設置された試験管のようなもの。悪魔が一体入るには十分な大きさだが、お世辞にも船と呼べる代物ではない。
「そうなんですか? で、どれが宇宙船なんですか?」
デーモンは辺りをキョロキョロと見回す。試験管を視界に入れないようにしている。
「まぁ、見た目はアレかもしれんが、これが宇宙船じゃ」
博士は試験管を指さしながら言った。
デーモンは何度か瞬きをしながら試験管を見つめ、横に立っているサリゲナクの方を見て言った。
「俺にはこの爺さんの言っている言葉の意味が分からない。どういうことだ? なんの冗談だ? 喧嘩を売っているのか?」
「そこまで言うなよ。信じたくないかもしれないが、これが宇宙船なんだよ。まっ、博士はこう見えて天才だよ。信じてみなよ」
(うーむ……)
顎に手を当てて考え込むデーモン。
(他に方法はなさそうだし、やってみるか)
軽っ!!
「ありがとうございます。ぜひ使わせてください」
「マジで? えっ、マジで?」
一番驚いたのは博士という。
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