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デーモンが管理人さんの部屋で大暴れをしている一方で…。
「よぉ!建宮。お前、寝坊したな!」
時刻は朝の8時30分。
場所は、県道沿いの建設現場。
新しい倉庫を建てるため、職人達が多数行き交うこの現場で、メタボ気味な中年の男と肩で息をする小太りの若い男が向かい合って立っている。
「してないですよ!その、電車が遅れて…。」
「電車だと!お前、車は?」
「その…粗大ごみとして持っていかれました。」
「ぶはははは!なんじゃそら!ぶはははは!」
「笑い事じゃねぇアホ!」
大声で笑い出したと思ったら、急に真顔になる広岡。
自分で笑っておいて、笑い事じゃないと怒る広岡。
「よし!遅刻した罰だ。今日の昼飯は奢ってもらおうか?」
「えぇ…。マジっすか…。」
(なんで俺が遅刻するとお前に飯を奢ることになるんだよ。それとは関係ねぇだろ。このくそメタボ野郎…。糖尿病になっちまえ!)
「お前、今何を考えた?」
「いえ、何も。」
「まあいい…。それよりな、実は、今日の朝、俺の長靴に大量の小石が入ってやがってな…。誰だろうな?あんな地味なイタズラをした奴は…。」
「……。誰でしょうね?」
(俺だわ。)
「………。しかし、バカだよな。小石を入れた奴。間違えて500円玉も入れてやがったぜ。昼礼の時みんなに聞いてみるか?持ち主に返してやらんとな。」
(マジで?や、やべ!そんなん昼礼で言われたら、職人共、こぞって自分のだって言うに決まってる。こ、これはまずい。それは俺の500円だ!)
「ま、マジっすか!す、すいません。俺っす。小石入れたの!なんかの手違いで500円玉も入っちゃったんすね!」
「嘘だバカ。」
「えっ?」
「夜飯も奢ってもらおうか!」
「はい…。」
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