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「だ、大丈夫か…。」
建宮は男の子の横で膝をつく。
そして抱き起こそうとするが、
(なんやねんコイツ。重すぎるわ!動かせん。)
男の子は床に張り付いたかの如く、全く動かない。動かせない。
「すんません。デブで。」
頭をポリポリかきながら言った。
(やけに冷静だな…。)
「お、起きれるか?」
「無理っす。自分デブなんで。」
腹をポリポリとかきながら男の子は言った。
(なんかコイツ助けたくない…。)
ジト目で男の子を眺めながら、ため息をついた建宮。
その時!突然頭上の梁が崩落した。
「うわぁぁぁ!!!」
燃え盛る梁が建宮・男の子・消防隊員を分断する。
「た 、大丈…ごほっ…。」
二人の安否を確認したいが、煙と炎が建宮の体力を大分奪っていたようだ。
声を発することができない。
それどころか…。
(あれれ…。体が…動かねぇや…。)
いつの間にかうつ伏せに倒れこんでしまっている建宮。
(………。あれ?これやばくね?)
つい先程までは、不思議と冷静な気分だった。
なんとかなるだろうと、軽いノリで男の子を助け出すつもりだった。
だが、その考えは今ではすっかり消え失せていた。
涙が止まらない。喉が焼けるようだ。
呼吸をするのも苦しい。暑い。たまらなく熱い。
(嘘だろ…。まさか死なないだろ、俺。)
(た、助けてくれ…デーモン…。)
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