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6 枯れ屋敷 主たる名医が求めるものを
さてどうなるのか――百合の緊張は、時間の経過とともにいや増していた。
幾重にも衣を重ね領巾をまとったたくさんの女中が、百合たちが到着するなりひとりひとりにお膳を用意してくれた。
その座敷の四方の障子は開かれ、枯れ枝でつくられた垣根が見える。見物するにはいささか役不足で寒々しく、ましてや会話が弾む状況でもない。
酒肴が用意されているものの、誰も手をつけないでいる。
カバンがあまりにも静かで、心配になってそっとのぞくと、鹿野は眠っているようだった。起こさないよう、百合はまたそうっとカバンを横に置く。
「如月さん、調子はどう?」
足を崩しはじめた功巳が尋ねてくる。
「これといってとくには……」
自覚はなにもなく、用意されたお膳に目をやる。誰も手をつけておらず、これを口にすれば――また黄泉戸喫を重ねることになるのだろうか。
「それならよかった」
「……全然今回と関係ないですけど、冥府ってあんまり人間のところと差がないんですね。こういうところなんだったら、死んだあともわりと抵抗なく暮らしていけそうな気がします」
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