6 枯れ屋敷 主たる名医が求めるものを

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「そうだ小娘、務まらぬとしてもいいではないか。所詮怪しい薬だ。その手伝いをして達者に暮らせ。もし悪い品が出回ったら、真っ先におまえの顔を見にいこう」 「――ふざけるのも大概にしろ!」  怒声に百合は飛び上がっていた。  それは八咫のもので、壮絶な表情になっている。まとう陽炎がごうごうと猛るように踊っていた。 「うちで扱うのは合法の品だ。品質も上等だ。そこらの粗悪品や紛いものと一緒にするなら相応の覚悟があるんだろうな、国刺よ。それもわからねぇなら、口ぬぐっておとなしくてめぇの仕事に従順でいろ!」  バチリバチリと黒い火花が八咫の周囲で散っている。  国刺当主は目を細め、歯を剥き出しにした――美しいそれが、すさまじく獰猛な顔つきになる。 「儂にでかい口を叩くな、いずれ地面をのたうち回らすぞ!」 「俺がのたうち回るなら、それは俺自身の責だろうよ! 清巳は売りものじゃねぇ、それを欲しがって商売の席に持ち出した時点で、国刺の仕事は下の下だ! 国刺も地に落ちたな!」
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