6 枯れ屋敷 主たる名医が求めるものを

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「またお金かかって、巳登里に叱られるよ。ただでさえ、うちの電気系統の工事代で」 「……そのくらいの金額なら、私が稼いでいるでしょう」  清巳の身体が見るからに硬化していく。表情の動きも鈍く、呂律が怪しくなってきていた。 「しばらくあんた働けないでしょうが」 「おお……はたら、か……なくて、いいんで……すか」 「いや、前言撤回だ。めちゃくちゃ働きな」  返事はなかった。  出血も止まり、横たわる清巳はその名残のある石彫りの像のように見える。 「清巳さん……?」  息をしていない。  返答もなく、寄っていこうとした百合を八咫が止めた。 「清巳のことはこちらに任せて、百合は国刺に」  八咫の視線が後方を向いている。  追えばそこでは国刺当主が足を止めていた。  屋敷の周囲を取り巻いていた水滴はすべて消え、どうやら訪れたときの状態に戻っているようだ。 「小娘、こっちだ」 「私より、清巳さんを先に」 「きよだったら、自分のことを自分でできる。おまえはこっちだ」  功巳にも八咫にも、まったく張り詰めた空気はなかった。
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