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「もしかして……みなさん人間じゃないとか」
子細を聞くのが怖い。九重もあやかしなのか。
「どうなんでしょう、生まれたときは確か人間だった気がするんですが」
そういって清巳が笑うと功巳も笑い出し、八咫と国刺当主まで笑い出した。
朗らかな笑い声に囲まれるなか、鹿野が百合のひざをつつく。
「百合ぃ、こいつらおかしいから、気にしたら疲れるぞ」
鹿野のやわらかい毛に指を埋めたら、確かに気にしないほうがいいのだと思えた。百合も短く笑っていた。
元清巳の抜け殻もまた、冥府の薬の材料になるとのこと。
国刺当主の女中の手を借り、空の木箱を譲り受けてそこに納める――どう見ても棺桶と遺体の図になり、百合は黙りこんでいた。
「きよは帰らずともいいだろうに」
清巳が帰るとあってふてくされていた国刺当主に、八咫が声をかける。
「浄化の請求書をよこしてくれ。鵺のは上等だ、そこは出し渋らんぞ」
「屋敷の修繕は」
「それはおまえが鵺の子を脅したからだろう。息子たちを呼んで修繕させたらどうだ、たまには親子水入らずで過ごせ」
国刺当主は半壊した屋敷を見回し、なにかいおうとした――が、しっしと払うように手を動かしただけだった。
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