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「ごりょうさんのお子さん、手先器用なんですか? お屋敷の修理ができるなんて」
「数がいるから、なんとかなるだろう」
丸めたストッキングをカバンに放りこんだ百合に、八咫は微笑んでいる。
「あそこは十人ばかり子がいる」
「え――すごい」
どこからともなく牛の引く車が現れ、女中たちが清巳の抜け殻が納まった木箱を乗せてくれた。
ぞろぞろ乗りこもうとすると、まっさきに乗りこんでいた鹿野がおもてに向かって声を放つ。
「なあ、おまえどうするの!」
誰に話しているのか――鹿野のつぶらな目の見る先には、黒い絨毯が落ちている。
百合は見なかったことにしたかったが、ずるりとそれが動く。
これまで見たなかで一番ちいさくなっている。風呂場前の足拭きマットくらいだ。水塀を突き破ってきたときは、もっと大きかったはず――鹿野の母鵺を包みこめるほどだったのだから。
「おまえちっちゃいなぁ!」
「ほんと……なんであんなにちいさく?」
「ああ、あれね、ペナルティもあるんじゃないかな。許しもなく如月さんに近づいてるから。さすがにかわいそうだし、許してやって」
「私がですか?」
「如月さんがだよ」
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