6 枯れ屋敷 主たる名医が求めるものを

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 母鵺が報復に追ってきた、そのためにこれは利用されたのだろう。 「でも……でもね……ま、またのびる……から……いいん、だ……」 「のびる?」  百合は目を凝らし、すっかり縮んだそれを見つめる。 「そう、だよ……のびる……また生える……」  触手のようと思っていたそれは、どうやら体毛らしい。百合が見つめると、首は照れたように顔をにやけさせた。 「そ、それで、これからはこちらに残る、ということでいいですか?」 「や……やだ……」 「無理して動くことないですよ」 「げ、元気に……なったら、またいって……いい……? そ、それで、い、い……一緒に、いても……い、い?」  寂しがり屋のかまってちゃんと功巳に評されていたが、それは縮んでもおなじようだ。 「あー……それはちょっと……こちらで養生なさったほうが」 「小娘、そいつを置いていくなよ! 忌々しい!」  国刺当主の怒声がかかり、百合は肩を落とす。 「ね……おしゃべり……だめ……?」 「……仕事中は駄目です。休憩時間でオフィス内で時間があるときなら」  妥協案を口にすると、首たちはにんまりとした。 「ゆ、ゆ……ゆ……ゆゆ……」 「はい?」 「ゆ……ゆ、百合ちゃんって……呼んでも……」 「やめてください」 「……うん……」  置いていきたくてたまらなくなる。  だが国刺当主がずっとにらみつけていて、百合はしかたなく首たちを置いていくことをあきらめた。
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