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「僕たちにはどうあれ、子煩悩なんだよねぇ、ごりょうさんって。お子さんたちにしたって、問題起こすけど大切なお母さんだから……なにかやらかすと、みんな菓子折持って謝ってまわってるよ」
「……その対応を、私がするんですか?」
誰かに謝り続けられるのは、楽しいことではなさそうだ。
ガタガタと車が揺れはじめる。冥府の入り口が近くなってきたらしい。
「浄化代だと思えば、安いのではないか?」
百合は我が耳を疑った。
「あ……いまなんて」
「いやいや、言葉のあやだ、すまん。浄化代が対応くらいで立て替えられるわけがないな」
「ま……待ってください、私が払うんですか? もしかして……いくらになるんですか? 払え……払える金額ですか!?」
叫ぶようにして尋ねたが誰もこたえない。
「金銭のことは先にいってくれないと!」
「百合、無料のわけがないだろう。現世の子はやはりのんびりしているな」
「……のんびりってことじゃないです……」
八咫以外はみな目を逸らす。
「百合も俺とおんなじ借金持ちかぁ」
ひざの上の鹿野が、ひとりごとのようにつぶやいていた。
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