「あと5分」 が限界

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1、通勤 私は、いつもの通勤電車に乗った。 その時は、いつもと変わらない状況だった。 ドア横の席が空いていたので、そこに座った。 終点駅までそのままだ。丁度、30分かかる。 意識しなくても、習慣でうとうとしてくる。 今日も、浅い眠りに落ちた。 ふっと、いつもと違う感覚で、目が覚めた。 額に汗が滲んでいる。 暑いからではない。 汗にも色々ある。 一つは、運動したときに出る汗。 サラッとした印象で、心地良いやつだ。 二つ目は、緊張した時に出る冷や汗。じわっと額や手の平に出てくる。 三つ目は、体調が思わしくない時出てくる油汗だ。始めは額にじわっと出てきて、体調が悪くなるのを促すように、どんどん汗の玉が大きくなっていく。 今回は、まさしくそれだ。 生理痛ではない。これは、あっちだ。 食べたものが悪かったのか? 朝は、いつもの食パンと牛乳と目玉焼きと野菜サラダだった。 特に、いつもと同じメニューだ。牛乳も昨日購入したで、決して古くない。 すると、昨日の夕食か? 昨日は、何を食べたんだっけ? そうだ、休日だったから、自炊したんだ。 えーと、 「大根と豆苗のサラダにミニトマト」「長いもとまぐろの山かけ」 「ズッキーニとなすとキャベツの炒めもの」「めんたいこ」「インスタント白米」 それに、ビール2缶だ。 初物は無い、普段から食しているものだ。 生ものは、まぐろか、でも昨日スーパーで 買ったものだ。 豆苗は昔騒がれた、かいわれに似てるけど 豆苗のニュースは聞いていない。 夏場だから、体調を崩しやすい事もある。 単なる食あたりかお腹が冷えただけだろう。 しかし今は、過程ではなく、結果が全てだ。 どんどん、お腹がぎゅるぎゅると言っている。 座っているのだが、隣の人に聞こえていると思うと恥ずかしい。 きゅっと、あそこを閉めていないと 漏れそうだ。 ここで、ぶちまけてしまったら二度と この電車には乗れないだろう。 電車には、同じ会社の社員もいるはずだ。 会社で広まったら、はずかしくって、 耐えられない。 子供なら、笑ってやり過ごす事もできるが、大の大人がお漏らししたら洒落にならない。しかも、小ではなく大なのだから。 ああ、神様 仏様、お願いします。何とか、もたせてください。 この電車は、あと、5分で終点の駅に着く。 ここで、乗り換えとなるのだ。
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