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1、通勤
私は、いつもの通勤電車に乗った。
その時は、いつもと変わらない状況だった。
ドア横の席が空いていたので、そこに座った。
終点駅までそのままだ。丁度、30分かかる。
意識しなくても、習慣でうとうとしてくる。
今日も、浅い眠りに落ちた。
ふっと、いつもと違う感覚で、目が覚めた。
額に汗が滲んでいる。
暑いからではない。
汗にも色々ある。
一つは、運動したときに出る汗。
サラッとした印象で、心地良いやつだ。
二つ目は、緊張した時に出る冷や汗。じわっと額や手の平に出てくる。
三つ目は、体調が思わしくない時出てくる油汗だ。始めは額にじわっと出てきて、体調が悪くなるのを促すように、どんどん汗の玉が大きくなっていく。
今回は、まさしくそれだ。
生理痛ではない。これは、あっちだ。
食べたものが悪かったのか?
朝は、いつもの食パンと牛乳と目玉焼きと野菜サラダだった。
特に、いつもと同じメニューだ。牛乳も昨日購入したで、決して古くない。
すると、昨日の夕食か?
昨日は、何を食べたんだっけ?
そうだ、休日だったから、自炊したんだ。
えーと、
「大根と豆苗のサラダにミニトマト」「長いもとまぐろの山かけ」
「ズッキーニとなすとキャベツの炒めもの」「めんたいこ」「インスタント白米」
それに、ビール2缶だ。
初物は無い、普段から食しているものだ。
生ものは、まぐろか、でも昨日スーパーで
買ったものだ。
豆苗は昔騒がれた、かいわれに似てるけど
豆苗のニュースは聞いていない。
夏場だから、体調を崩しやすい事もある。
単なる食あたりかお腹が冷えただけだろう。
しかし今は、過程ではなく、結果が全てだ。
どんどん、お腹がぎゅるぎゅると言っている。
座っているのだが、隣の人に聞こえていると思うと恥ずかしい。
きゅっと、あそこを閉めていないと
漏れそうだ。
ここで、ぶちまけてしまったら二度と
この電車には乗れないだろう。
電車には、同じ会社の社員もいるはずだ。
会社で広まったら、はずかしくって、
耐えられない。
子供なら、笑ってやり過ごす事もできるが、大の大人がお漏らししたら洒落にならない。しかも、小ではなく大なのだから。
ああ、神様 仏様、お願いします。何とか、もたせてください。
この電車は、あと、5分で終点の駅に着く。
ここで、乗り換えとなるのだ。
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