呟き

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 文字化けしてると思う間もなく、異変は起こった。画面が明滅を繰り返し、電源が落ちたように真っ暗になる。画面に映る顔は、自分ではなく耳を塞いだ少年の顔。  俯いていたはずの顔が徐々に上がっていく。間近に迫った唇は、高速で何かを呟いた。 「すみません」  耳元で誰かに囁かれる。既視感はあった。ーーいや、既視感どころか。以前にも。 「あー、まいったなこれは……」  何度も何度も謝りの言葉が続く。高い、低い、高い、低い声が不協和音を奏でる。  知らず知らずのうちに耳は両手で強く塞がれ、気がつけば声を漏らしていた。 「すみません」  自分の声で打ち消せなきゃ、その不協和音は消えない。
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