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付き合って4ヶ月、お互いにいい大人ですし。
ハジメテってわけじゃないですし。
流れ的にいつそうなったっておかしくはなかった、むしろ遅すぎたかもしれない。
夕べは夏の思い出に一緒に花火でもしよっか、って。
クロくんの家の近くの公園で手持ち花火を楽しんだ後で。
そのまま近くの居酒屋で少し飲んだ、少しだけのつもりだった。
だけど花火は楽しかったし、クロくんはいつも通り優しいし。
お酒の力のせいか、いつもより、もっともーっと一緒にいたくなっちゃったのは私だけじゃなかったみたい。
「終電、無くなる……かも」
このままだときっと……、甘く痺れるような予感から今ならまだギリギリ逃げれるんじゃないかって。
立ち上がろうとした私の手をテーブルに縫い付けるように上からやんわりと押さえつけたクロくんは。
「……泊まっていけばいいよ?」
そう言って私を見つめるその熱っぽい視線に見据えられたら。
私だって、覚悟、決めちゃうしかない。
静かに頷いて、ベタだけど記念すべき恋人たちの第一夜のための最初の壁をそこで乗り越えたのだ。
だけど、まさか、……。
夕べ脱ぎすてた少し皺になったワンピースにまた袖を通し、顔を洗いせめて髪の毛ぐらい整えて、とポケットに入ってたゴムで長い髪の毛を一つに纏める。
鏡に映る自分の姿を洗面所の灯りの下で改めて見た。
夕べの……痕が首筋に紅く残っていて、その生々しさに思い出して恥ずかしくなる。
どっちかというとクロくんは草食系、おっとりしててふんわりと微笑む人で。
私にはめちゃくちゃ優しい人で、付き合ってからもずっと変わらずに大切にしてもらってる。
確かに隙あらばキスしたがる人、でもそれ以上はきっと我慢してくれてたのかも、と今にして思えば、ね。
ただ思い返すと、時々眩暈を起こしてしまいそうなほどの長くて溶けてしまいそうなキスもあって……。
……、そっか、あれは予兆だったんだ。
夕べの彼は。
私の想像をはるかに超えていた、その、勝手に草食系男子だなんて思いこんでた自分も悪いけど。
思い出したら鏡の中の私は耳まで真っ赤に染まる。
つまりはベッドの中での彼は、突然肉食系男子に様変わりした、というわけなのだ。
首筋に残ってるのは一つでも、その下に点々と強烈に残る紅い花模様がそれを物語っていた。
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