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「ちょっとだけ自分自身の気持ちに整理付けたいの、一人で」
ちゃんと私はクロくんに現在愛されてるんだって、自信持って笑えるように。
こんな風に嫉妬ばかりの私、見られたくないから。
一人になって笑えるようになったら又会いに来るつもりなのに。
「オレは……、必要ない?」
私の言葉足らずなソレなんか、ちっとも伝わってなくて。
ギュッと強く抱きしめ返されて、私の肩に顔を埋めたクロくんが不安を漏らした。
「必要に決まってる……」
自分の嫉妬で不安にさせてしまってることに申し訳なくて。
強く抱きしめ返して、それから意を決して伝えた。
「一回帰って着替えて、それから……マグカップとスープカップと枕と、……新しいの買ってきてもいい?」
「え?!」
顔を上げたクロくんが私を見下ろして、それから。
「あーっ! だよね、もうっ……ホント、ごめん、何も考えてなかった」
やってしまった、とガッカリと項垂れたクロくんに。
「いいの、私が気にしすぎなのはわかってる……、ただね、クロくんとお揃いの新しいの、私も欲しい! 前の彼女さんだけズルイ!」
ヤキモチに盛大な言い訳をして口を尖らせていると。
眉をへの字にして私の顔を見下ろしてたクロくんが。
「何、その……ヤキモチ」
クロくんの脱力した声に、ハッとする。
私の方が年上なのに意外と余裕がないところとか。
実はヤキモチ妬いてるのは今回に限ったことではなくてクロくんの周りに時々群がっていたクロくんを講師と慕う学生たちとかにも妬いてちょっとケンカになっちゃったこと、とか。
ウザい、やっぱりこういうのって、ウザいよね。
大人げなさ過ぎた。
「嘘、嘘、嘘っ!! お願い、今の全部忘れて」
素直になりすぎると、零れてしまう本音が。
夕べの花火のようにポタポタと広がって。
それが隠しきれない自分の醜い部分みたいで泣きそうになってしまうと。
「っ、もう!! 可愛すぎるでしょ、彩未さんってば」
恥ずかしさで顔を覆った私の手を退けて。
ゆっくりと、クロくんは触れるだけの優しいキスを私に落として。
「一緒に買いに行こ。オレも彩未さんとのお揃い、選びたいもん」
優しい笑顔が包み込むように私を見下ろしてる。
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