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「見て!」
メグが声を上げた。面の後ろ、壁面に突然赤いものが広がった。ルイは思わず画面を凝視してしまう。コメント欄にも急激に書き込みが増えた。驚きを表すものが多いが、裏に装置があることを疑う声もある。
「うっわ」
赤い液体は量を増して、だらだらと流れていく。粘性が高いようで、ゆっくりと壁を伝って行った。
『毎晩こうなんですよ』
南雲の言葉に「よく平気だな」と、レンと同じ事を指摘するコメントが書かれた。
「ほんとだよな」
レンはそれを読んで独りごちる。
『ここからですよ! よーく見ていてくださいね!』
南雲は楽しげだ。この後何が起きるかはルイも聞いている。液体が床に付いた途端、消え失せるのだ。画面を凝視していると、やがてそれは起こった。床まで届いた瞬間、ふっと赤いものはかき消えた。コメント欄はやはり驚きの書き込みが続く。プロジェクションマッピングを疑うものもあったが、もしそうなら前後で多少明るさが変わる、という指摘もされている。ルイは首を横に振った。
「僕は霊感とかないけど」
実物の気配を思い出す。
「これはそうなんだと思うな」
「ああ」
レンもしみじみと頷いた。彼もまた霊感と呼べるものはないが、
「その気持ちはよくわかるぜ、警視」
居合わせた者として実感はある。
「まったくさぁ」
ナツが再びマイクをオンにした。ぼりぼりと、固い物を咀嚼する音が入る。
「食ってから話せ」
アサに言われると、茶を呷ってから彼女は言葉を続けた。
「蛇岩さんには悪いけど、趣味悪いよね」
「俺もそう思うよ……」
レンは大きく溜息を吐いたのであった。
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