古い友人

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 飛び起きて、南雲の指す方を見たレンが最初に目にしたものは、真っ赤に染まった壁だった。何事かと思って目を懲らすと、どうやら壁に掛かった面から赤いものが……どう見ても血にしか見えない液体が、ものすごい勢いで流れ出ているのだ。まるで、今壁際で人の首を切断したかのように。 「何だこれは!?」 「すごいだろ! 夜な夜なこんなことになってるんだよ!」 「夜な夜なこれでよく平気だなお前は!?」  思わず叫んでから、そこでレンに疑問が芽生えた。夜な夜なこうなっている? それなら、どうして壁に染みなどが残っていないんだ。  レンの疑問はすぐに解けた。面から流れ出している血のような液体は、床まで垂れると、そのままふっとかき消えてしまった。まるで、流れるものはプロジェクションマッピングだったかのように。  しかし、振り返ってもプロジェクターの様なものはなかったし、いくら寝起きだったとしても、映像の液体と本物の液体は判別できる。 「あの面は、骨董屋で買ったときはもっと軽かったんだ」  南雲は嬉々として話を続ける。 「でも、最初の晩にこうやって血が流れ出したら、ずっしり重くなって」 「『重くなって』じゃねぇよ。よく平気だな。坊主なり神主なりは呼んだのか」 「まだだよ。お前に話すのが最初だ」 「……」  レンは腕を組む。 「とにかく、警視庁からチームを寄越す。良いな?」  南雲は快諾した。
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