メグの「おじさん」

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「俺の大学の友人に南雲ってのがいるんだけどなぁ」  レンはそう切り出した。警視正の同級生ってことは……国立大学卒か……キャリアには国立大学卒が多い。(もっと)も、ルイは私立大卒だが。 「そいつ、今は会社経営してんだよ。結構凝り性というかミーハーな奴でな。骨董屋で妙なもん買うことがままある」 「それで、怪異買っちまったんですね」  ナツがふんふんと頷きながら呟く。 「そう言うこった。何だと思う? 血の出る面だよ」 「どこから血が出るの? 目? 鼻?」  メグが首を傾げると、レンはげんなりしたようにして首を横に振った。やや言いにくそうに、 「断面だ」 「裏ってことですか?」 「いや、断面だ。顎の下って言った方が良いか」 「切りたて生首みたいってこと?」  ナツが魚の鮮度のように言う。警視正は苦い顔で頷いた。 「早い話がそう言うことだ。夜中になると、そんな感じで壁が血だらけになってる。壁を伝ってだらだら垂れてるんだが、不思議なことに床についた途端消えちまう」 「怪異、ですね」  ルイが呟くと、レンは我が意を得たりとばかりに大きく頷く。 「そうだ、室長。正しく『怪異』だ。ということで、南雲にも了解を取り付けてある。ここに行ってくれ」  差し出されたのは年賀状だった。
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