1169人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく観察していたが、アレンが本気で隠れてしまったため誰も見つけられなくなってしまった。
俺は分かるけどね。ほら、ロッカーの中で震えてる。
なんの接触もないアレンを見るのはつまらない
要するに飽きたので他を見ようとパソコンを弄る
「おっ」これはこれは
興味深いな
それはあのマリモが何人かの生徒に囲まれているところだった
校舎裏で。
あれだな、親衛隊のお呼び出し
でも、これはきっと上手くいかないだろう。なぜなら、常識すら通じないあいつに言っても無駄だからだ。
「お前ら何なんだよっ!オレをこんなとこに呼び出してっ」
「制裁に決まってるでしょ!?僕たちさ、君にずっと言ってるよね。
生徒会様に近づかないでって!お前みたいな奴が一緒に居ると迷惑なの!
生徒会様は!!」
「そんなこと言うなよ!友達なんだからいいだろっ!」
「はあ?友達?お前が?なに言ってんの?」
「もういい。お前らやっちゃってよ」
その声を合図に影から出てきたガタイのいい奴ら
面白くなってきた、、不謹慎だって?知らないよ
「ええー?こいつかよ。のらねー」
ジロジロとマリモを見て、嫌な顔をする。ま、当然だよな
「ちゃっちゃとやっちゃてよ!生徒会様のためなんだから!」ブチっ
その声と同時に俺は映像を切った。
ああ〜ほんとくだらない。マリモも奴らも生徒会も。
興味半分で見ただけだったが、かえって胸糞悪くなった
たかが1人の生徒に振り回されている生徒たちが大変滑稽に思えた。
しかもそれぞれの勝手な妄想で
「くだらない」(ボソッ)
そんな俺の呟きに答えるかのように、いつの間にか側にいた聖夜が言う。
「私もそう思うよ。未来を背負う彼らがね。正直今回は失望したよ。
たかが1人、イレギュラーを入れただけでこんなに崩れるとは」
重いため息をついた。
理事長とはいえあまり生徒に干渉していない聖夜が期待していたということは
マリモが入るまで多少メンツに問題があろうとも、そこそこ安定していたのだろう。
理事長室に重い空気が漂った。
そんな時だった
「お前ら卑怯だろ!!」
聞こえる筈のないマリモの声が俺の耳に届いた
おかしいな、映像は切ったのに
聖夜と視線を交わすのと同時に、ある可能性が俺の頭に浮かんだ。
いや、、、まさか。
自分の考えをすぐにでも否定したくて、窓辺に駆け寄り下を見る。
はい、居ましたー真下に。
しかも窓開けたらがっつり声が聞こえる距離だ
「この棟って理事長室以外に普段使う部屋がないからね。屋上もあまり生徒は来ないようだし。そんなわけでこの周辺、人がいないんだよ」
と、この様子を見てもなおにこやかに話す聖夜に正直イラっときた
「時々お盛んな生徒たちがいろいろやってるみたいだし」
付け足すように言うなって、、、
外でヤるなんて、、せめて部屋でやってよ。野生動物かよ
勘弁してよ
窓にもたれつつ、ため息をつく俺の気持ち何か知らない奴らとマリモ
制裁はいつの間にかヒートアップしている
「大人しくしろよ!」「こいつ力つよっ」
「だからなんでこんなことすんだよっ!」
ああうるさい。俺うるさいの好きじゃないだけど
後で思えば、この時さっさと見捨てていれば良かった。
いつもは良心なんて微塵も持っていない俺が、たまたま、今日に限って
ほんの少しだけ持っていたせいだ。それとまだ残っていた少しの興味も
さっさと捨てとけば良かった。
「だから、「ボキッ、ドカッ
「てめー!!」
増す騒音と己に対するイライラに俺は
思い切り窓を全開にした。
聖夜の呆れた目に対し
しょうがない、とかいう変な結果論を出し、
俺は窓から飛び降りた。
最初のコメントを投稿しよう!