転入

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「俺はなぜこんなところに、、」  ここ《天ノ城学園》の無駄にでかい門を見上げながら呟いた。    そう、こうなったのはすべてあの父親と幼馴染のせいだ。      ことの始まりは一週間前のあの日だった *  そうあれは1週間前、日本でのコンサートが終わった日  今回のコンサートは友人アレンとの共演で、久しぶりの再会と演奏と。  いつもとは違う楽しさと喜びと、  それから、、絡んでくる面倒くさい方々が半減することの嬉しさ(これが一番デカかった)と。    幼馴染の偉大さを感じたな、色んな意味で。  暫く仕事も無ければ、予定も無いシフォンは休暇をとるつもりだった。   会場からホテルへ向かう車の中でアレンは誰かに電話をかけていた。   声を聞く限り、あのクソ親父に間違いはなかった筈だ。   別に珍しくもない光景で、俺自身も全く興味がなかったから、   眠気覚ましにぼーっと、すぎる景色をただ眺めていた。    (あ、サクラだ。とか呑気な事を思ってた自分を今すぐにでも殴りにいきたい。)     話が終わったと気付いたのは、鼻歌が聞こえてきてから。 やけに、上機嫌だなと思い、隣を見て後悔した。 満面の笑みでこっちを見ていたから。 (おい、、何も言うなよ、、) 嫌すぎる予感は的中するのが王道だ。  「シフォン、俺と一緒の学校通えることになったよ」  「、、、は?がっこう、、?」  いや待って今なんて言った?  たしかアレンは留学してて今は日本の学校通ってたはずだった  とすると俺もそこに通えってことだろうか?  、、嫌だ。  「なぜ」  「だってしばらくは予定ないんでしょ。俺は学校に行かないといけないし。   シフォンも通えば、楽しいし、一緒に過ごせるし。いいことしかないからー?」  「いや、そもそも俺大学卒業してるし行くは必要は無いだろ、お前も大学卒業してるくせに   なんでわざわざ留学してまでここに居る?行くわけないだろ」 「で、本音は?」 「めんどくせぇ」  そうこの2人、無駄にハイスペック。  すでに大学は卒業しているし、自分でもそれなりに稼いでる。  そのため本当は学校に行く必要も無い       「シフォンのお父さんにも許可はもらったし、手続きもしてくれるってさ。   だから行くよね」 黒笑     「いやだか「行くよね」ニコニコ    、、、分かった」 ________  アレンの笑顔に思わずうなずいてしまった。  威圧感に負けて。  腹黒、が世界一似合う男ではないかと密かに思ったのはここだけの秘密だ。 そんなわけで俺はこの学園に通うことになった。 *     許可を出した父とうなずいてしまった過去の自分を恨みながら  高い門を見上げ、再びため息をついた。    
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