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「すいてるな」
「そーだねぇ」
隣、その隣、そのまた隣、、、、とまぁ列の途切れない、大変アッツ苦しい状態とは別物だと。しみじみと感じる。これほどこのチケットを寄越した家族に感謝したことがあっただろうか。
おまけに入園前にも関わらず、事前に入れるらしい。
同じ境遇であろう、他の優待者たちの姿はさっさと奥に消えていく。見ただけでも、身なりの良さそうな家族に、如何にも有名人ですと言った風貌の方々、あ。
「テレビいるし」
「えー」
手にはカメラ、カンペっぽいスケッチブック。マイク。
ラフな格好の団体様がわいわいと進んで行くのが見えた。
ふと、頭にある予感が、、、
「なぁ」「うん」
「「フェル」」
「オレさぁ、さっきからスマホが凄く熱いんだよねぇ」
「奇遇だな、俺は電源切ったけど」
「あ、そう。、、、俺もそーしよっかなー」
何処か遠い目をしながら、ポケットからスマホを取り出すアレンに心から同情した。
自分のものを見たいと思うわけもなく、嫌そうな顔で画面を見つめるのを目の端に捉える。
「うっわぁ、、、、100件」
「きっっもちわりぃ」
反射的に口から出た。
「ねぇ、これ無視していーと思う?」
「えっ」
「え?」
「え、、あ。無視以外に選択肢があることにびびった」
「んーもう、シフォン。何それ、、オレが優しいって?
ありがとー」
「きも」
「何て?」
「別に」
「はぁ?いやだっt「次の方お進み下さい」、、」
運良く掛けられた声に、さっさと前へと足を進めた。
隣の輩は勿論放っておく。
「ちょ、待ち、、はぁ」
無視だ、無視。
「ほら、早く来いよ」
「はーい」
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