遊園地

5/23

1156人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
「「は?」」  酷く聞き覚えのある声が、鼓膜を破って頭を殴ってきた(比喩だから、比喩) この時の衝撃は多分、ここ一番ででかいやつ。 セーフティーガードさえ無ければ、多分蹴り飛ばしに行っていただろうと思う。 でもそんなこと出来るわけもなくて、 己の格好など気にする余裕もなく、2人して首をありえないくらいの角度で回転させた。 「なあなあ、オレも乗せてくれよ!!」 「、、え、、、」 そこにいたのはもっさり頭、、ではなく。 茶髪の可愛らしい顔をした、声のでかい、スタッフに絡みに行くも明らかに引かれている、 見た目と内面の食い違いが恐ろしい。なんとも情報過多の少年の姿があった。 おまけに見たことがある顔。 「おい、待てよ。」 「なーんで、あいつがここに居るかなぁ」 顔だけは良いせいか、最初こそはスタッフ達も好意的な笑顔を浮かべていたが、 だんだんめんどくせぇとでも言いたげな顔へと変わっていった。 おい、お前ら、ちょっとは隠そうとしろよ。気持ちは分かるけど で、完全放置の俺たちは。 「帰りたい」 一瞬にして立ち退きたい衝動に駆られた俺を、苦笑いで見るアレンという図に変わっていた。 さっさとそいつも乗せて、動かせよ。 これが俺の願望だ。 どうせ身バレはない、シフォンとしての姿をあいつは知らない。 こちらが一方的に彼方の存在を把握しているだけであって、実際問題は無い。 そう、目さえつけられなければ。 目さえつけられなければ。 「おい、お前たちもオレも一緒に乗って良いと思うよな!!」 降りようかな。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1156人が本棚に入れています
本棚に追加