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「何これ?映画の撮影?」
2人が去った後、誰かがそう言った。
それは、不安を占めるこの空間にはあまりにもそぐわない言葉。だがその一方で、人を安心させる何とも都合の良い言葉だった。ポツリと聞こえただけなのに瞬く間にそれは周囲に広がっていった。
「なんだよ。映画かよ」
「びびったぁ、じゃあさっきのアレも演出?」
「そうだろ。それ以外ありえねぇ」
「えっ、じゃあ私たちエキストラってこと?」
「ラッキーじゃん!」
あっという間に元に戻った。なんて楽観的、まあでも仕方がない。
それに、どうせすぐ現実を見ることになる。
だって、もうすぐ爆弾1コ、、、、あはは。
木を隠すのなら森の中。人を隠すのならば人混みの中。
誰も僕に気づく訳がない。ただ次の合図を待つだけだ。
自然と口角が上がるのが分かった。
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