第1章 目覚める力

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季節は四月。桜が咲き乱れて気持ちの良い天気の毎日。伊織は窓から入る朝日の光で目が覚め、快晴の空から降り注ぐ眩しい光が気持ちいいと感じていた。伊織は青色のスウェットを部屋着として着ており、伊織はベットから起き上がると枕元に置いていたスマートフォンを手に取って時間を確認する。 「アラームが止まってる……今は……午前七時!? 寝坊だ!」 伊織は慌てて制服である紺のブレザーに着替えると、部屋を飛び出て二階のリビングの扉を開けた。 現在は西暦二千二百二十二年、伊織が十年前にライブ会場で怪物に出会った時より十年の月日が経過している。伊織が生まれ暮らしている日本においても近頃は頻繁に怪物が出現するようになってしまっていた。 一時期は怪物が出現しなくなり経済活動や町の復興などが行わていたが、それも怪物の再出現によって遅れ気味となっている。十年という月日は一人の男性の英雄を忘れるのには早いもので、怪物を倒してくれていた英雄のことを人々は忘れつつあった。 しかし伊織は英雄のことを鮮明に覚えている。忘れない理由は明白であり、十年前にライブ会場で自身を救ってくれたことやライブ会場で倒れていた際に力をある託されたからである。 伊織は現在十六歳の高校一年生であり、実家に住んでいる。自室は実家の三階の一室に伊織の部屋があり、その部屋で暮らす伊織は四人家族の長男として生活をし、父と母に妹と共に暮らしている。妹は二歳年下の現在十四歳である。 妹は当時四歳であったために伊織と共にライブには行っておらず、家に祖父母と共に待っていた。そのため、ライブ会場での悲劇を知ることはなく現在まで来ている。 「おはよう! 寝坊しちゃった!」 伊織がそうリビングに入って挨拶をすると、父親たちが挨拶を返してくれた。
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