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金光は動じることなく、相澤を見て少し笑った。
「もう撃つつもりはない。見ろ。これが宇宙崩壊装置だ」
金光は机の上に置いたビーチボールほどの大きさの黒い球を指差した。表面は金属のような質感をしていて、『7:23』という数字が浮かび上がっている。その数字は徐々に少なくなっていき、何らかのカウントダウンであることがわかる。
「あと7分もすれば、この宇宙は崩壊する。全てが無に帰すのだ。お前たちでは止めることはできないだろう」
金光は言動とは裏腹にとても安らかな表情を浮かべていた。
相澤は宇宙崩壊装置に触れるが、金属製の黒い球にはボタンひとつ存在しない。何をどうすれば止めることができるのかもわからない。
相澤は六車を見るが、六車もわからないというように首を横に振った。
金光はクククと笑う。
「無駄だ。もはや私にも止められん。装置の内側でエネルギーが溜まり始めている。先程までは停止もできたが、私が発砲して時間を稼いでいた間に、そのタイミングは過ぎた。カウントダウンが終わる頃にはエネルギーが極限まで溜まり、宇宙の崩壊が始まる」
宇宙の崩壊などということは、あまりにスケールが大きすぎて相澤にはピンとこなかった。
「そもそも、本当に宇宙を崩壊させるなんてことができるのか? どうやって?」
相澤の疑問に金光は、
「それをお前に説明し終わる前に、宇宙は崩壊するだろうな」
と鼻で笑った。
さらにカウントダウンは進み、宇宙が滅ぶまでの時間は六分ほどとなっていた。
相澤は一か八か、宇宙崩壊装置に向かって発砲した。金属の表面に傷をつけることができただけで、銃弾は跳ね返って、天井に小さな穴を開けていた。
「ダメか……」
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