宇宙の終わり

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 相澤はすかさず金光の拳銃を蹴り上げる。  衝撃で金光の手を離れた拳銃は回転しながら床に落下した。  相澤は金光の懐に潜り込み、金光を背負い投げを食らわせる。  すかさず片腕に手錠をかけ、金光が部屋の柱を抱きかかえるようにして、もう片方の腕にも手錠をかけた。これで、金光は柱を抱いたまま動くことができない。  喚く金光を無視して、相澤は床に転がった金光の投げた拳銃を拾いながら、指示を飛ばす。 「宇宙崩壊装置を庭で打ち上げよう! 六車、お前は光速度エンジンの準備をしてくれ! できるか!?」 「任せてください! 機械工学科を卒業してて良かったですよ。こういうのやったことあるんです!」  六車は小部屋から走り出て、小型の光速度エンジンがあった隣の作業場へと向かった。  その間に相澤は宇宙崩壊装置を持ち上げて、庭へ運ぶことにした。だが、あまりに重く、床に宇宙崩壊装置を落としてしまい、鈍い金属音が響いた。 「クソッ、重えっ! この急いでるときに……っ!」  残り時間はあと三分半。  相澤は持ち運ぶのは諦めて、宇宙崩壊装置が球であることを生かして、床の上を転がして運ぶことにした。  必死に装置を転がし、庭を目指す。曲がり角に苦戦しながらも、なんとか庭にたどり着いた。  庭では六車が光速度エンジンの準備を進めていた。  六車は相澤がやってきたことに気付いて、 「相澤さん! 遅いですよ! ここに宇宙崩壊装置を入れてください!」  と光速度エンジンの上部を指差した。  相澤は渾身の力を振り絞って宇宙崩壊装置を持ち上げ、光速度エンジン上部の空間に宇宙崩壊装置を放り込んだ。  その間に六車は作業場で見た小型核融合炉を光速度エンジンに装着している。小型核融合炉が光速度エンジンのエネルギー源になるのだろう。  六車は光速度エンジンのボタンを押して叫ぶ。 「離れてください!」  相澤が距離をとったと同時に、光速度エンジンは光を放ち、浮き上がった。あっという間に空まで上昇したあと、太陽が二つになったかと思うほど光速度エンジンが輝いて、そして消滅した。正確には急加速して見えなくなったのだろう。  相澤と六車はそのまま数分間立ち尽くした。  宇宙は崩壊することなく、遠くでクマゼミが鳴いていた。
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