1人が本棚に入れています
本棚に追加
エピローグ
その後、事件はすぐに警察の管轄を離れ、国が捜査することとなった。
今回の事件については忘れるように政府高官から伝えられ、事件の詳細は公にされることはなかった。ここまで厳しく情報統制しているということは、やはり宇宙崩壊装置は本物だったのかもしれない。
今頃、宇宙のどこかでは光速で時間の止まった宇宙崩壊装置がさまよっているのだろうか。
相澤たちはこの事件の後、好きな部署に異動できることになった。政府からの口止め料だろう。
相澤は戻りたいと切望していた刑事課への異動を希望し、それは受理された。
自らのデスクに戻ると、向かいに座っている六車が目に入った。
相澤は刑事課に異動なので、六車と関わることは少なくなるだろう。六車のことはロクでもないやつだと思っていたが、関わりが少なくなると考えると寂しいものがある。
六車も希望の部署に異動できることになったと聞いている。機械工学科卒であるなら、科警研でも希望したのだろうか。
「六車は異動の希望先、どこにしたんだ? やっぱり、科警研か?」
六車は、いやいやいやと手を振り、
「俺も刑事課ですよ。やっぱ、警察官といえば刑事っすからね。子どもの頃からの憧れだったんすよ。ついに夢が叶いました」
と満面の笑みだ。
「相澤さん、刑事課でもよろしくおねがいします!」
六車はわざとらしく、頭を下げた。
ロクでもない六車との関係がもう少し続くことを想像し、相澤はやれやれとばかりに頭を掻いた。
最初のコメントを投稿しよう!