38人が本棚に入れています
本棚に追加
車の揺れが心地よさを増す。
昔は車でよく寝ていた。
大人になってからはさすがにできないが。
「こっちで合ってる?」
「うん。もう少しで着くよ」
向かう先は私のアパート。
でも部屋にいれるわけじゃない。
「駐車場平気なの?」
「前の彼氏が使っててバタバタしてたから解約してなくて。だから今は,まだ使えるよ」
昔の恋は振り切ったはずなのに一つも忘れない。
恭平がいたらどうなっていたのだろうか。
でも過去だと言い切れる。
一つの恋以外は……
頭の中をめぐる記憶が途絶えたのはアパートに着いてからだった。
「どこ行くの?」
「公園に行こう」
予想外。
そんな表情をする勇輝。
その勇輝の手を引いて私は冬空の下を歩いた。
最初のコメントを投稿しよう!