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家のキッチンで鍋の中身を混ぜながら、今日の出来事を振り返る。
恋はどうしてこんなにも残酷なものを見せるのだろう。
手を止めるとチャイムの音が鳴る。
玄関を開けると勇輝が立っていた。
「久しぶり」
笑う勇輝の顔を見て全てを忘れるようだった。
「久しぶりって一週間会ってないだけだよ?」
笑いながら勇輝を家に入れる。
「一週間は十分長い」
ふてくされたような顔をしてソファに座り込む。
その勇輝が机に置いた箱を見る。
「なんだと思う?」
意味ありげに笑う勇輝の顔を見て、箱を見つめると箱に私の好きなケーキ店のロゴがあった。
「ケーキ!」
「正解。ご飯食べたら一緒に食べよう」
嬉しかった。
日常が楽しい。
こんなに退屈じゃない日々。
最初だけというけれど、その最初が楽しいのは幸せだと思う。
「今日煮込みうどんでいい?」
「いいよ。風呂沸いてる?」
「沸いてる。入ってきていいよ」
鞄から代えの服を出して風呂場へと向かう勇輝の背中を見て、重ねてしまった。
あの寂しそうな背中。
私もそう見えていたのかもしれない。
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