第四章

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 仕事帰りの道は暗かった。 学校を出たばかりだというのに店の明かりが頼りのような状況だった。 「寒い……」  二月も終わる。 三月まであと何日でもない。 当然のように寒さは体を冷やす。 学校を出てまっすぐな道。 気づいたのは暗さでも寒さでもなかった。 誰かいる…… 学校から少し歩いて感じていた。 勘違いで終わるならそれでいい。 でも確実に私をつけている人がいる。 男か女かもわからない。 どちらとも言えず、知り合いか知り合いじゃないかもわからない。 ただ振り向くことが怖くて駅までを急いだ。 駅の人混みにまぎれて改札を入るともう気配は感じなかった。 少しの恐怖心と戸惑いが入り混じった状態で電車に乗った。
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