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「ヨッ!」
そう言って病室に入るアンジー
「おまえ、さっきの医者」
目を丸くして見る
「残念でした!俺はまだ本物じゃないんだよね♪」
そう言いながら車椅子を押して
廊下に出る
「何すんだよ!」
大きな声を出す
「君、名前は?」
今度は何も答えず黙り込む
「俺はアンジー よろしくな♪」
相変わらず無視
構わず車椅子を押し続ける
「リハビリ、嫌なのか?」
「……」
車椅子を止める
プレイルームと書かれた部屋の前
ドアを開け中へ入る
「うん、ここで充分だな」
何人かで遊べる広さがある部屋
「何する気…?」
おもわず身体を固くする少年
「おまえ、怖いんだろう」
ビックリした様子の少年
「自分が歩けないって
認めるのがさ!」
「おまえに何がわかるんだよ!」
「わかるよ…」
優しい眼差しで彼を見るアンジー
「えっ…」
アンジーの顔を見つめた
「いや、何でもない」
そう言って天井を見るアンジー
「ほら!」
少年の前に手を差し出す
「俺の手を掴んで立ってみろ」
目を反らす少年
「ほら、やっぱり怖いんだ」
「怖くなんか…」
「だったら、ほら!」
無理やり少年の手を引っ張っる
片足が地面に着き車椅子から
落ちそうになる
「ウワァ」
「怖いだろ!
それが大事なんだよ」
彼を抱きしめて両足で立たせる
そして抱きしめていた手を離す
ふらつき転がりそうになり
両足を踏ん張る
「ほら!立てたじゃないか!」
「えっ…?」
「いいか、その感覚忘れるなよ
今日はここまで、はい!終わり♪
帰ろうか」彼を車椅子に座らせ
押して病室に戻る
「じゃ!腹減ってんで、バイ」
呆然とする少年を残し病室を出る
「休憩行ってきます」
廊下にいる看護師たちに
声をかける
「休憩時間は1時間だから」
右手を高く掲げOK サインを出し
病棟を出て行く
その様子を見ていた小児科部長と
さきほどの若いドクター、二人揃っておもわず苦笑いになる
「何が可笑しいんですか?」
看護師長が難しい顔で訊ねる
「いゃ、なかなかだなって…」
「ヒヤヒヤもんですよ
怪我でもさせたら大変ですよ」
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