146人が本棚に入れています
本棚に追加
序
始まりと終わりの街。
その街はそう呼ばれていた。
――グレネデン・シティ。
大海間を行き来する船の集まる、巨大な港。
大陸を東西に貫通する弾丸鉄道をはじめ、各所を結ぶ幾つもの鉄道の発着する一大ターミナル駅。
旅はここからはじまり、ここで終わる。
荷も人も、必ずここを通過する。
欲望と絶望と、わずかな希望を携えて。
旅人はみな、この街から出発するのだ。
――なんて日だ。
馴染みの賭場で、スッカラカンに負けた。
有り金を毟り取った後のカスになった俺はいらないとばかり、適当に追い出される。
最初のコメントを投稿しよう!