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 女はポカンとしている俺に気付くと、柔らかく微笑んだ。 「面倒ごとは、片付きました。  あらためて――案内を御願いできませんか?」  丁寧な物言いには、厭味っぽいところはない。 俺の方はといえば、さっきまでと違ってこの主従に興味がある。  知りたいねえ。 特に、あの銃の性能やらが。 「……いいぜ。きちっと礼が頂けるんならな」  答えると、女は軽く頷いた。 「御用意いたします」 「それと……」  俺は、腰の銃を引き抜いた。 ドチビメイドほどじゃないが、一動作のそいつはそこそこ速かったはずだ。  メイドが反応しかけたが、俺に銃口を向けるには至らない。  銃声。  同時に悲鳴が上がる。  弾は、倒れながらも女に銃を向けようとしていた追い剥ぎの一人、その手の中の銃を弾き飛ばした。  次の弾で、空に舞った銃を、さらに撃つ。  続けてもう一度。  三度、宙を踊るよう弾け跳んだ銃。  それは、もはや追い剥ぎの手の届かない道端に落ちてクルクルと転がっていった。 「こっちの礼には、酒でも一杯奢ってもらえるかい?」  あたりに立ち込めた魔道硝煙の匂い。  それを、くるりと手の中で銃を回して断ち切る。
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